日本小型船舶検査機構そのとんでもない実態

 

平成27年12月裁判が起こされ、日本小型船舶検査機構は「舷灯角度の違法状態」を知ったにもかかわらず「それを各方面に知らせる義務はないから行わない」と主張。さらにこの事実を知った後も違法のまま船検に合格させた。人命を何と考えているのか。(事実を知ったのは平成27年10月)

彼らに「シーマンシップ」はあるのか、そのような者が検査したのか。よくある「天下りのためだけの組織」なのか。

これは、日本小型船舶検査機構の検査が原因で、いかに多くの船舶が危険に晒されているか、船舶関係者に夜間航海の危険性を訴えるものである。

 

驚いた舷灯の実態

 私は、夜間航海において、漁船と衝突した。その修理を株式会社オカザキヨット(以下オカザキヨットと称する)に依頼した。その後修理のトラブルがあり、裁判になった。その過程において、神戸新西宮にある株式会社オカザキヨットが舷灯を違法取付している事を知った。驚くべき事に、夜間航海で漁船と衝突した時も、自船の舷灯が30度内向きの違法状態であった事を知った。他のヨットは?疑問に思って調査した。その結果は驚くべき事に、多くのヨットの舷灯が30度内向きの違法取付であった。

 

事故舷灯破損 001

舷灯オカザキ証拠 001

写真は、オカザキヨットが完成した証拠として、裁判所に提出したものである。舷灯が正しく付いていれば、この角度から赤色部分は見えない。
だが、はっきりと赤色が見える。明らかに取付角度が違う。違法である。
(実際の写真は赤と黒の区別がはっきりしない。しかし印刷の基本は3原色である。写真を読み込んで赤を強調するとこのようにはっきりと分かる)
この証拠があっても、オカザキヨットは、正しく付けたと言い張った。
そのため私は日本小型船舶検査機構の力を借りようとしたのである。


呆れた、日本小型船舶検査機構神戸支部の実態

私は、検査をした神戸支部に対し、船検において、検査の責任は問わないから、違法で有ることを証明して欲しいとお願いした。神戸支部は資料を見るから送って欲しいとの事で、資料を送付した。この時一緒に新西宮ヨットハーバーにおける他の違法状態のヨットの写真も一緒に送った。しかし証明することはできないとして(許可が下りない)資料を送り返して来た。この時当然、新西宮ヨットハーバーには違法状態のヨットが8艘有ることを神戸支部は認識したはずである。又、関心をもたなければおかしい。
(対象の舷灯ヨットは11艘、内違法取付角度は8艘、異常な確率である)

私は、自分のためだけではなく、違法状態のまま船検を通している事実を知った以上、行動を起こす必要があると考え、尼崎地裁で裁判を起こした。だが尼崎地裁は私が、日本小型船舶検査機構に対して、証人尋問させて欲しいと請求したが、認められず結審し、訴えを却下された。尚、損害賠償を求めたのは、利害関係がなければ訴えを却下される事が多いためである。
札幌からの旅費交通費を考えれば
到底わりの合わない裁判であるが、ヨット業界の修理の実態とそれを検査する日本小型船舶検査機構の実態を公表することが、私の「シーマンシップ」であると考え裁判を起こしたのである。

 

尼崎地裁の呆れた却下理由

事件名:平成27年(ワ)第1058号、船舶不法検査損害賠償請求事件


日本小型船舶検査機構の主張

「実施方法細則」に従って適正に実施している。

細則では「前回の検査時から各設備に変更等ないことを確認する」となっているが、一端船検に合格したヨットは、変更があるとの「ヨット所有者もしくは代理人からの申告がない限り」検査項目にない検査はしないと主張。事実を知りながら「変更なし」と言われれば検査しない。呆れた言動である。

舷灯については、「点灯することを確認する」となっているが、向きについては、点検項目にないと主張、私がそのヨットを特定し連絡しても、検査を受ける者から「申告がない限り」確認する必要はなく合格させると主張。
これでは点灯すれば後はどんな状態でも良いとの主張である。なぜなら違法取付の実態と、写真まで添えて説明したが無視されたのてあるから。

事実、この裁判を起こすにあたり、再び新西宮ヨットハーバーで調査をした。1回目の調査は、平成23年5月である。今回は平成27年、この間4年経過している。中間検査が当然あったが、それにもかかわらず、違法状態はそのままで船検に合格させていた。

 

指摘されても、違法状態で合格させる、日本小型船舶検査機構の実態

日本小型船舶検査機構との裁判がはじまり、再調査をした。平成23年5月違法だったヨットの舷灯は相変わらず違法状態であった。日本小型船舶検査機構神戸支部は、平成27年10月その実態を知ってからも合格させている。

裁判が始まったが、その間に船検の時期がくるヨットが有ることを知った。私は再びハーバーへでかけ、そのヨットを確認した。

驚くべきことに、舷灯が違法状態であるにもかかわらず、新しい検査証が貼ってあるではないか。違法の事実を知り、更に訴えられても検査に合格させたという驚きの事実である。

 

 神戸支部違法船検 002

このヨットの舷灯は30度内側を向いている。この船の舷灯の不備を平成23年の調査で確認。平成28年4月再調査。同年7月船検合格させている。神戸支部に写真付きで多数のヨットが違法状態で有る事を伝えたのは平成27年10月。平成27年12月裁判になってからも船検を合格させている。日本小型船舶検査機構ってなに?


隣のヨットマンの話

私は、違法状態のヨットを船検合格させた証拠を得るため写真撮影をしていた。すると不審に思った隣のヨットマンが「何をしているのですか」と怪訝そうに声をかけてきた。

私が事情を説明すると、『先日、皆で舷灯の処へ集まって話しをしていました「今までなにも言われなかったのに」と文句を言っていましたが、舷灯の事だったんですね』との事でした。しかし違法状態のまま検査証が貼ってあり、合格させている事を説明すると、「舷灯のことだったんだ」と納得していました。別れる時「裁判頑張ってくださいね」と励まされました。

注:私はこの検査日を「前日」と記憶しているが、あまりに出来すぎた話で、「先日」の聞き間違いかもしれないので「先日」とした。

 

尼崎地裁判決

「本件ヨットについて必要な検査は適正に行われており、被告が検査を怠った事実はない」として却下された。

私:日本小型船舶検査機構は事実を知りながら合格させている。これを「検査を怠った」と言わずしてどのような状態をいうのか。私の船の検査を怠ったのも当然である。

 

尼崎地裁は組織を守るための判決を出した

 尼崎地裁は、私が尼崎地裁で「株式会社オカザキヨット」を訴えている事は当然知っている。(素人裁判で何年も通っており、弁護士仲間と間違えられ挨拶されることもあった)

この時「舷灯が違法に取り付けられており、その修理をやり直したので金を返せ」と数々の証拠を提出して訴えたが、尼崎地裁は何の根拠も示さず却下している。全く審査していないのである。

日本小型船舶検査機構に対しても証人尋問させなかった。こんな裁判があるか。
これが明らかになると、尼崎地裁で判決があったオカザキヨットとの裁判に影響がある。
「組織を守るための判決」だと言われて当然ではないか。

 

関係省庁に告ぐ、これは違法行為であり、公文書偽造ではないのか。

たしか3年くらい前、大阪府警で、輸入車にバックミラーを増設せず、違法に車検を通し逮捕者がでたはずである。

 

日本小型船舶検査機構の検査員は検査をする資質があるのか

私は昔、住宅の検査員をやっていた。あるプレハブ住宅会社が、名古屋の台風で屋根を飛ばしてしまったからである。在来木造住宅に比べれば、その割合はわずかな棟数であったが。原因は、工務店が補強金物の取り付け方を知らなかった。あるいは手抜きであった。

これが構造体の問題、メーカーの問題とされる事を恐れた会社が、建築士を大量採用し「検査員」として養成したのである。我々は業者の再教育と検査を徹底してやった。しかし、アンカーボルトの入れ忘れ等やり直すことが大変な部分などで手抜きがあり、見かけ上アンカーボルトを入れて検査員、すなわち私をだますのである。検査といっても日本小型船舶検査機構のように見るだけでなく、全数スパナで絞めなおすのである。しかし他の検査員と同行して、その検査方法を見て、私がだまされている事に気づいた。

我々は、そのだましのテクニックについて教えあい、なぜ手抜きが起きるのか、それは彼等だけでの問題ではなく、我々が指導する施工マニュアルにも問題があるのではないか。手抜きをすればすぐわかる施工方法等検討を重ねた。

この努力がみのり、役所の検査では検査証が貼って有れば間違いないと言われるようになったのである。

日産自動車はどうか。

資格を持つ検査員が検査しなかったことが社会問題となっている。人命に直結するかもしれないからである。


今の私はどうか、今ならチラッと見ただけで判断できる

 私は、あの津波が来る前々年の4月、銚子マリーナから、新西宮ヨットハーバーに母港を変えた。運が良かった。4月末保険が切れるので回航を強行、この時嵐に会い、舷灯に海水がかかって漏電し、赤の全周灯にテープを貼って代用し、大阪湾に入ったのである。

この時、株式会社オカザキヨット(以下オカザキと称す)に、桜マークの舷灯と換してもらった。オカザキの職員「金地寛幸」と職人がやって来て、私の目の前で舷灯と舷灯を取付けるL型プレートを取付けた。しかしその取付角度が30度内側にずれているとは、全く気付かなかった。しかしプロの彼らが分からぬはずがない。図々しくも私が見ている前で違法工事をしているのである。オカザキヨットの「金地寛幸」もなんら注意しない。
(なぜ違法取付をするか、どんな影響があるか詳しくは次回)

夜る松山沖で漁船と衝突、破損した船体を確認しようとして落水、漂流した。その時もオカザキが壊れた舷灯の交換をおこない、再び30度ずらして取り付けた。オカザキの手抜きでもめた時も気づかなかった。全ての修理にクレームが着いた。しかしオカザキは直さない・他の業者も直してくれない、仕方なくオカザキの影響のない福岡まで回航して再修理したのである。

修理も終わり、神戸へ帰ろうと準備していると、たまたまこのヨットを売った会社の元職人がやって来て、いきなり「舷灯曲がっていますよ」と教えてくれた。
この男はきっと、多くのヨットの舷灯が曲がっている事を知っているのだろう。そう考えた私はこの時、他のヨットも調査した。桜マークの舷灯を付けた対象ヨットは
4艘いて、内2艘が違法取付であった。更に、神戸へ帰り新西宮ヨットハーバーでも調査した。対象のヨット11艘(私の船を含む)の内、8艘が違法取付であった。驚くべき数字である。

 私は違法取付に気付かなかった。船長として情けない話である。しかし、今ならチラッと見ただけで違法が分かる。極めて簡単な見分け方がある。舷灯が乗っている「L型アングルの6穴側に舷灯が乗っているか確認するだけである」(一方が6穴、もう一方が3穴)

 

日本小型船舶検査機構はどうか。

 左右の舷灯が30度も内側を向いている。それにもかかわらず、「点灯することを確認する」となっているから、角度の検査は行わないと言う。30度もずれているのにである。明かりを付けるとずれている事が更によく分かる。ずれた角度が拡大されるからである。間違った方向に点灯しても合格させるのか。今まで誰も気づかないならば、日本小型船舶検査機構は素人の集団である。

私が検査員なら、この問題をすぐ日本小型船舶検査機構内で共有し、直ちに検査方法を変更する。


日本小型船舶検査機構は恐ろしい。
夜間航海と、30度内側にずれた舷灯。これ人命に直結する問題である。「この問題を関係機関に知らせたか」と尋ねると「知らせる義務がない、だから教えない」と裁判官の前で堂々と恐ろしい主張するのである。それに対し、なにも確かめない裁判官も恐ろしい。恐ろしい主張をする日本小型船舶検査機構の言うことを裁判官は信用した。国民の命をどう考えているのか。

 

日本小型船舶検査機構は手抜きをするため「変更なし」を求める

 彼らは、多分性善説をとるのである。それは検査の手抜きをするのに都合がよいからである。「変更なし」と書類にチェックを入れるだけである。人は問題のない工事でも、チェックされ指摘される事を嫌う。これが常識である。だから口頭で済む「変更なし」と当然言う。こんなことは常識である。私が住宅検査で「変更なし」と言われて、検査合格させたらどうなるのか。事故があればクビである。日本小型船舶検査機構はどうか。

日本小型船舶検査機構は、検査の手抜きをしたいがために、「変更なし」と言ってもらいたいのである。お互いの阿吽の呼吸である。

 

船体登録時点から違法取付ではないのか

 裁判では、日本小型船舶検査機構は、中間検査に話を集中していた。しかし、今考えれば、本来は桜マークの付いた防水の悪い粗悪品を取付ける事が求められているのであるから、船体登録した時から、違法取付がされていると考えるのが妥当ではないか。そうであれば検査していないではないか。

 

よこ道編:桜マーク舷灯はなぜ海水が侵入するのか。

 今のLED舷灯の防水性能は知らないが、(LEDに交換しようと思ったが発売されたばかりで、耐久性が心配でやめた)今までの舷灯はよく漏電する。カタリナ320で、私は新西宮ヨットハーバーから日本一周に出発した。途中銭洲に衝突し船に穴が開き浸水した。松崎で修理して1か月後再び航海を始めた。ナイターになり、その夜海が時化た。前方で雷があるらしく時々ピカリと光りセールを照らすのである。しかしこれは雷ではなく、舷灯が漏電したためであった。火災が起きなくてよかった。小名浜で修理し、花火を見ながら出航した。今日もナイターである。私はいままでほとんどナイターである。シングルで2日間も珍しくない、3日もある。沿岸を走るナイターはつらい。気づくと貨物船に囲まれていた。日本一周が終わっても、1か月ナイターの夢を見て驚いて目をさました。ヨットを始めたばかりなので、今とは違い(ドンの情報助かっています)情報が少なく、信頼できる港を選んだためである。

 カタリナ350にヨットを変え、銚子から神戸へ母港を移すとき、ナイターで時化に会い、漏電で舷灯を壊し、オカザキが桜マークの舷灯に交換した。沖縄へ向かう時、瀬戸内海でナイターをして衝突事故を起こした。再びオカザキが舷灯を取付けた。オカザキと裁判が始まり、遠出しなかったので2年ばかり嵐に会う事がなかった。久しぶりに瀬戸内海を出て、与那国迄クルージングをした。途中波が荒かった。与那国で数日遊び宮古島へ向かうべくナイターをした。

この時、舷灯が2つとも切れている事が分かり、石垣島で修理をした。今のままではだめだと、思いつく処全てにコーキングした。

石垣島から、宮古島に向かいナイターをした。またもや舷灯が故障。石垣島を出るとき、波に翻弄されたのが原因か。宮古島では舷灯が手に入るか分からないのでそのまま宜野湾へ向かった。沖縄本島は船が多く危険なので船の少ないコースを遠回り、3夜目に宜野湾に着岸。

 舷灯を外さず蓋を取って中を見ると、ショートしてバルブが溶けている。

こんなことではいつかは火災事故を起こす。私は、外から入る原因が分からなければ、中から水を入れれば分かるのではないかと(逆転の発想:原因があって結果が出るのならば、結果を出せば原因が分かる)下の写真のように水を入れてみた。ゴムチューブの中を配線が通っているが、なんとここから水がどんどん漏れるのである。いかにも防水してあるように見えているが全く防水していない。

このチューブを防水して取り付けた。その後現在に至るまで何度も時化た海を航海したが一度もショートせず壊れない。結局この航海で、修理用舷灯4個、予備2個、計6個も舷灯を買ってしまった。

 舷灯漏水試験 001

 

この桜マークの舷灯は、本来ヨットに取り付ける事を想定していないと思う。すなわち国内にヨット用の舷灯はないという事である。なぜなら、舷灯の取付説明書には、舷灯の下面周囲にコーキングするよう書いている。チューブを防水せよとは書いていない。すなわち、ボートや漁船に取付けた場合、チューブ部分は船内に入ってしまい、周囲をしっかり防水すれば海水がかからないのである。そのため、そのよう説明がなされている。ヨットに取付ける事を想定がされていない。検査機関は製造責任をとれ。

 

この問題を日本小型船舶検査機構ではなく、船長の責任とすべきか
日本小型船舶検査機構は設立の目的が、その船を持っている船主のためだけではない。一番の目的は、公共の利益のためである。
貴方は相手の違法舷灯が原因で夜る衝突事故を起こして漂流してしまった。これを相手船長だけの責任にするのか。それは違うと思う。日本小型船舶検査機構は、貴方のために相手船の検査をするべきであると考えるべきである。貴方は危険な相手船を調べる権限もないし衝突した時は遅いのだから。
 日本小型船舶検査機構が、違法なヨットを使い、貴方の進路を妨害させたと考えるべきである。
舷灯正誤比較 001

舷灯の取付角度が違うことを、ヨット仲間に知らせて下さい。

違法取付は、舷灯タイプ(両色灯ではなく)に限られ、輸入艇の舷灯を国産の桜マークに変える時、発生しているので、心当たりの方は舷灯の取付角度を調べて下さい。見分け方は簡単で、L型アングルの3穴側に舷灯が付いていれば、取り付け方が違うと思って間違いありません。見かけた方は教えて上げて下さい。各地で30度内向きの違法舷灯が見つかっています。

 

見つけた方は、どこのハーバーで、何艘いたかお知らせ下さい。


<事故を解説する:オカザキヨット裁判と内容は同じ>


  
愛媛県松山沖で漁船と衝突、落水・漂流

平成22年4月衝突事故発生

 

どのような状況で海難事故が起きたか。

 

3月24日: ヨット整備完成検査(オカザキヨット整備)

 

4月6日: 新西宮を沖縄に向かって出発、小豆島で夜になる。

 

日: 15時頃、来島海峡手前の伯方港に停泊予定であったが、疲れたので、初めての港で着岸場所がなければ更に航海を続ける事になり無駄な徒労に終わるので、そのまま航海を続け、大分の姫島へ向かう。

 

日: 夜22時頃、四国松山沖の由利島を通過した。この後は海域が広がり、見張りがしやすいので、仮眠している妻と見張りを交代しようとした。右姫島・左豊後水道方面と航路が分かれるので、何度も航路を確認し、交代のため妻を起こそうと船室に下がった。この時尿意を催し先に用をたし、妻を起そうとした時、ドスンという音がし、慌てて飛び出すと漁船の左舷に衝突していたのである。(正面衝突に近い、21度の角度で衝突した。そのまま船は引きずられ、飛び出した時は、T字型になっていた)

 

星一つない真っ暗な海を漂流。

 

慌てて飛び出した私の目の前には、漁船の船腹と赤灯が見えていた。漁船とはすぐに離れたので、船首の損傷を確かめようと、壊れて折れ曲がったパルピットにつかまった。確かめようと身を乗り出したところ、パルピットはすでに折れてばらばらになっていた。そのため落水したのである。この時パルピットの端は折れてめくれており、強く掴んだまま落水した私は右手に大けがをしたのである。
(この時は痛いと思っただけで気づかなかった)

 私は落ちる瞬間「落ちた」と叫んだだけで、そのあとはもがかず、一端海に沈みその後も声を出
さなかった。これは、慌ててもがくと海水の飛沫を肺に吸い込み意識を失う事があるからである。(これ覚えておくべき:浅瀬でも溺れる原因)

 幸い救命胴衣を着けており、更に夜になると冷え込むのでたくさん着込んでいたので寒さの心配なかった。ヨットは風に流され離れていったが、自分も少しずつ流れ航路から離れたのは幸運であった。(本船に巻き込まれる恐れあり:後でぞっとしました)

しかし妻には「助けてくれ」と救助をもとめなかった。なぜなら本当の真っ暗闇で何も見えない中、引き返してスクリューに巻き込まれる事を恐れたからである。 

 どうしょうかと周りを見回すと、私のLEDライトが光り輝き漂っていた。これは、今回姪の旦那からもらい、何気なく持ってきたものである。運が良かった。当時のLEDライトはガラが大きく海水に浮かんだのである。

これを取ろうと必死になって泳いだが、たくさん着込んでいため思うように泳げず、更にライトが風に流されて行くので、捕まえられなかった。そのうち息切れがし、心臓が苦しくなってきたので、危険を感じ中止しました。(H28年ドックで心臓の血液が多少逆流していることが判明)

 

私はいままでピンチで何度も助かったので、絶対助かる自信があり慌てま
せんでした。「積極的に行動するか」「このまま朝まで漂流するか」考えていました。

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LDEライト、怪我をした手で掴んだ、中に浸透していた血が流れ出ている。

 
妻の救助

 

この間妻は私が沈んだと思い、暗い海に向かって「だれかお父さんを助けてくださ~い」と絶叫しながら、もと来た方向へ流れてゆくのですが、漁船はやってきません。哀れで涙がでました。

  ふと見ると、今まで私から逃げていたLEDライトがすぐ近くまで来ているではありませんか。私はこれを確保しなければ死ぬのが運命だと悟り、必死に泳ぎました。(もそもそ進んだだけだが)不思議なことに今度はライトがほとんど流されず。なんとかライトを確保することが出来ました。この時「助かった」と思いました。この時はまだ出血に気づいていず、もし確保できず、朝まで漂流したならば出血多量で死んでいたかもしれません。

  私が落ち着いて、ヨットが離れてゆくのを見ていたのは、夜は非常に遠くまで声が通ることを知っていたからです。呼ばなかったのは真っ暗闇の中、ヨットが間違った方向に引き返し、巻き込まれることを恐れたからです。

 ライトをもった私は、150mほど離れたヨットを照らし「引き返せ」と怒鳴り、ヨットを照らしました。妻はエンジンのかけ方を知りませんが、幸い衝突の時ショックでギアが外れただけだったので、車の運転ができる妻は何とか近くまで来ました。

 
「ライフスリング」を投下させようとしましたが、開けることができないと泣き叫ぶのです。のんびりと話しかけ、何とか落ち着かせようとするのですが全く効き目がありません。原因は、パルピットの外側に付けたため、蓋が海側を向いていて、蓋がマジックテープで固定されているのがわからないのです。(今は内側に向けて付けてある)

 

仕方ないのでイーパブを稼働させようとしました。妻はバンドをはずせず、包丁で切り取りましたが、もう一か所細いひもで結わえてある事に気づかず失敗。救命いかだも、閉じてあるひもを切るだけで、止めてあるバンドを外せず失敗。

 

パニクリやすい正確なので、こちらは落ち着けようとのんびりと話すのですが、全く効き目がありません。

 

これでは、たっぷりと水を吸い重くなった体をヨットに引き上げてもらうのは無理と判断し、救助を依頼しようと妻に電話をかけさせました。

 しかし海上保安庁の「118番」を思い出すことができず、仕方がないので110番へ電話をさせましたが、妻は正確な位置を伝えることができません。相手の問いに対して、松山沖である事、左に島がある事(由里島)右手には何も見えない事を伝えただけでした。相手はわかったといって電話を切りました。

 

 漁船に救助される

 

この間、衝突した漁船に去られては助からないと思い、LEDライトで漁船を照らし続けました。(漁船は助けようと網を上げていたとのこと)

 もう妻はだめだとあきらめ、漁船に「助けてくれ」と叫び、しばらくして漁船がやってきました。

 二人で(親子)私を引き上げようとしますが、とにかく水をたっぷりとすった私の体は重く、なかなか引き上げられません。

 私は当時80キロありましたから、100キロ以上あったと思われます。二人の力が限界かなと思ったとき、両肘が舷側にかかり、ようやく救助されました。

 

 松山港に向かう

 

その後松山港に向かうことになり、私はヨットに飛び移りました。

しかし寒気がするので、濡れた衣類を着替え、ぼたぼたと血が出ている右手にタオルを巻き、松山港へ向かいました。

 

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右手から滴った血が点々と続く

しかし、寒さが出血多量によるものであることを気づきませんでした。10分くらいたってから、松山海上保安庁から電話があり、位置の確認を行い、ケガをしていることを伝えました。

 

GPSがあることが分かると(今天測の試験はないそうですから、GPSがあるのは当然)、北緯何度ですか、東経何度ですかと聞いてくるのです、専門用語では素人である妻は何のことか分からなかっただろうと思いました。単純に「何度ですか」と聞いた方がよいと思いました。

 

5分くらいで保安庁の船がやってきて、私は乗り移りヨットは保安庁に回航してもらいました。

 

 病院で手術する。

 

松山港では、救急車が待っており、すぐ血圧を計りました。

この時「61」と告げられ、初めてかなりの出血があったことに気づき、あのまま朝まで漂流していたら、危ないところでした。

中指の先から、親指の付け根まで、ところどころ切れており、特に中指の第一関節の血管は切断しており、ここの止血が上手くいかず、けっこう時間のかかる手術になりました。

 

その後、北海道に帰ってから再手術を行いました。しかし手の引きつりはほぼ良くなりましたが、中指の先端はマヒしたままで現在にいたります。

 

 事故の原因

 

こちら側の原因は、5艘の貨物船がヨットと漁船の間を通過したこと、漁船の後方に島があった事などで、貨物船や島の明かりと見誤った事です。

 漁船側は、網を下した後、松山方面に漁を続け、その間寝ていたとの事です。しかし由里島から漁をすると目の前は航路です。せめて航路を横断してから休息でなければ、とんでもなく危険なことです。

だが、私はこの事故で、相手船が違法舷灯のため安全だと判断を誤り、寝込んでしまったのではと考えています。 

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